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バックアップ回線はなぜ必要なの?

「バックアップ回線って、そもそもどうして考える必要があるのだろう?」
「事業継続力強化のためにネットワーク強化というけれど、事業継続のことを改めて考える必要ってあるの?」
ネットワークが業務に不可欠ということは分かるものの、その理由を問われると具体的に説明するのは難しいですよね。

この記事では、ネットワークの強化・バックアップ回線が必要となっている理由についてご紹介します。

事業継続にインターネット回線が不可欠な3つの理由

現代社会において、インターネット回線は無くてはならないものになってきています。
そのため、有事の際に確実な事業継続を実現するためには、基本的な防災グッズなどに加えてインターネット回線が不可欠です。

では、具体的にどのようなことにインターネット回線が必要なのでしょうか。

社員の安否確認をするため

大規模災害など、ビジネスの継続に大きな影響を及ぼす事象が発生した際、企業がまず行うことは何でしょうか。
そうです、社員の安否確認です。

同じ場所にいれば物理的に人数確認が可能です。
一方で、異なる場所に従業員が分散していると電話・メール・安否確認システム等を通じて確認しなければなりません。

東日本大震災の際の安否確認の主要な手段と導入状況は以下の通りです。
多くの企業が固定電話や携帯電話に依存していることが分かります。

図1.安否確認手段の導入状況

安否確認手段の導入状況

参照:東日本大震災に際しての企業の対応に関するレビュー

図2.社員の安否確認状況

社員の安否確認状況

参照:図1に同じ

また、震災当日に安否確認を完了したのは36%にとどまり、震災翌日になっても58%でした。
つまり、40%を越える企業は震災翌日になっても、社員の動向を把握できなかったということです。
その背景には、既存の通信ネットワーク網の寸断や、通信の輻そう(インターネット回線や電話回線にアクセスが集中)したことによる通信障害の発生が原因でした。

大規模自然災害に限らず、有事の際に既存の通信ネットワークが恒久的に利用可能である保障はありません。
そのため、企業としては社員の安否確認を確実に進めるための環境を整備しておくことが必要です。

取引先や監督省庁とのやりとりのため

企業は様々なステークホルダー(利害関係者)との関係性の中で成立していると言っても過言ではありませんよね。
有事の際に、そういった社外の各種関係者との情報連携はビジネスを継続するための不可欠になります。

過去に発生した様々な有事の際、企業のビジネス活動は一定期間は縮小、あるいは、停止せざるをえなくなりました。
その際に、利用者、取引先、監督省庁等への情報連携や開示方法の巧拙がその後のビジネスの存続に影響を及ぼした事例は数え切れません。
事業継続の観点でも政府は明確に初動の対応事項として明示していることから、その重要度の高さは明らかです。

表1.初動段階で実施すべき事項の例

実施主体 実施事項
項目 詳細
対策本部
(本社及び各拠点)
参集及び対策本部の立ち上げ・指揮命令系統の確立
  • あらかじめ定められた参集基準に基づき、参集対象者は所定の場所への参集
    (※安全確保の観点等から必要に応じて参集対象者の出社を抑制)
  • 参集後における、対策本部の迅速な立ち上げ
  • 参集場所が利用できない場合は、代替拠点へ参集
建物、設備、従業員等経営資源の被害状況の確認
  • 建物、構築物、設備、作業現場等の被害確認
  • 従業員等の安否確認※1 を実施、結果を集約
顧客・従業員の安全確保及び物資配給
  • 避難が必要な場合、顧客・従業員の避難誘導
  • 水・非常用食料等の必要な物資を配給(備蓄の活用、必要に応じ追加調達)
  • 必要な場合、安全な帰宅方法の指示や、かえって帰宅することが危険な場合の待機指示
二次災害の防止
  • 落下防止、火災の防止(ガス栓の遮断・確認等、必要なら一部電源の遮断を含む)、薬液漏洩防止、危険区域の立入禁止など、安全対策の実施
  • 危険が周辺に及ぶ可能性のある場合、住民への危険周知や避難要請、行政当局への連絡
自社の状況についての情報発信
  • 連絡手段の確保
  • 社内の被害状況等の情報集約
  • 社内外の必要な相手先に対し、自社の状況についての情報発信(連絡先一覧による※2
事業継続計画(BCP)の発動
  • 初動が落ち着いた後、然るべき権限者は、あらかじめ定められた基準に基づき、事業継続計画(BCP)発動の要否を判断し、発動となった場合、事業継続体制へ移行
対応の記録
  • 実施した対応や、発生した問題点等の記録
各従業員 自身及び周囲の安全確保
(勤務先、出先、自宅で 共通)
  • 身の安全を確保した後、初期消火、周囲のケガ人や閉じ込め者の救出(救出用資材を活用)
  • 周囲の状況を確認し、必要な場合には避難
自身の安否についての報告
(同上)
  • 定められる方法に基づき、自身及び家族の安否の報告

※1 安否確認は、事業継続のために稼動できる要員を把握する意味においても重要である。
※2 取引先等の利害関係者、行政、広報先となるマスコミなどの連絡先一覧を作成し、確実に更新しておく。

参照:内閣府 事業継続ガイドライン 令和5年3月

しかし、伝えたい情報があっても、伝える手段が利用できない状況にあっては、元も子もありませんよね。
有事の際でも必要な情報を伝えるためには、関係各所に情報連携・開示できる通信手段を確保しておかなければなりません。

業務の復旧・維持をするため

有事直後の初動対応が終わると、次の局面は復旧対応(事業継続対応)に移ります。
現在、多くの企業は何かしらの業務システムを利用していることから、業務復旧の観点で業務システムへの接続は必須です。
例えば、東日本大震災以後、情報システムも含めた事業継続に向けた取り組みを進めている企業の比率は2012年度時点は47.2%から2021年度には66.5%と、19.3%増加しています。

図3.リスク別 BCP策定・運用率の2012年度と2021年度の比較

各リスクに対し、策定し運用している比率およびBCPを策定し運用しており、定期的に見直し更新している比率の合算

リスク別 BCP策定・運用率の比較

参照:企業IT動向調査報告書 2021
企業IT動向調査報告書 2022

しかし、肝心の情報システムへの接続ができなければ、業務復旧もままなりません。
東日本大震災直後は固定電話も携帯電話も不通の状況が発生し、利用可能な回線が限られたところにアクセスが集中したことで輻そうも発生したため、利用が制限されました。
つまり、有事の後に社員同士の連絡や業務システムへ接続するインターネット回線を予め準備しておくことが、確実な業務復旧の実現には必要です。

まとめ:事業継続力向上のためにバックアップ回線を追加しよう

企業がビジネスを維持・継続し続けるためには、ネットワーク機能が維持・継続できる環境を保持しておかなければなりません。
通信ネットワーク環境は企業がビジネスを行う上で、不可欠なインフラだからです。

ネットワーク機能が失われる事象は近年複数のケースが発生しています。
その事象から得られる教訓は、単一のネットワーク環境では貧弱であり、同類のネットワーク環境を複数保持していても同時に機能停止しかねない、ということです。
よって、事業継続をし続けるためには単なるネットワークの二重化だけでは不十分であり、普段使いのインターネット回線とは全く異なるインターネット回線を利用できる必要があります。

これを機に、ビジネスの重要インフラであるネットワークのことも見直してみませんか?
TDSCでは、必要な時だけ利用料が発生する月額0円のBCPプランをご用意しております。

【参考資料・サイト】

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