こんにちは。TD衛星通信システムの高橋です。
今や殆どのシステムやサービスがインターネットを前提とした世の中になりつつあります。
その中で大規模な通信障害が起きることは社会の停止を招く要因になりかねません。
今回のコラムでは、通信障害に対して企業がどのように対策を取ることができるのかを解説していきます。
突如発生した大規模通信障害
2022年の7月2日午前1時半すぎから発生した、KDDIの大規模通信障害。大手キャリアの障害が約3日も続いたという、時間的・規模的にも大きな通信障害でした。
今回の大規模通信障害では、音声通話だけでなく生活に欠かせなくなった『データ通信』も繋がりにくくなる事態に。運輸にかかわる重要なシステムや正確な天気予報などに欠かせない気象観測の他、銀行、交通などの普段の生活に深く関係する場所にも影響を及ぼしました。
社会全体に大きなショックを与え、報道だけでなく『インターネットは欠かせない』ということを自身の経験として実感した方も多いのではないでしょうか。
KDDIだけでなく、2021年10月に起きたDocomoの通信障害、2018年にはSoftbankでも4時間25分の通信障害が起きています。
普段当たり前に使用している大手キャリアの回線だけを用いるリスクがあることが浮き彫りになった今、企業はどのように対応していくべきかを考えていきたいと思います。
頻出するキーワード『輻輳 (ふくそう)』
通信障害関連の報道で多く耳にする『輻輳』。聞き慣れない言葉ですが、実は通信障害の原因として最もポピュラーなものと言えます。
『輻輳』とは、一言で言えば通信の渋滞のことです。
身近な例で言えば、人気商品のオンライン販売開始と同時にホームページにアクセスしたけれど、沢山の人が同時に接続したためになかなか画面が表示されない…これも『輻輳』の一つです。
今回のKDDIの通信障害では、設備障害によってこの『輻輳』が引き起こされています。
また、以前発生したDocomoやSoftbankの通信障害も原因こそ異なりますが、結果的に『輻輳』が引き起こされスマホが繋がりにくい・繋がらないという事象が発生しました。
この『輻輳』は地震などの自然災害でも起きると予想されています。
例えば災害による施設の破壊によるもの、キャリアが行う制限による混雑…など、通信障害と『輻輳』は切って離せない関係なのです。
通信障害に対して一般企業ができること
3大キャリア全てで通信障害が発生した今、『キャリア回線がいつでも繋がる』想定での事業運営はリスクと言えます。
災害などの緊急時でも事業が継続できる、もしくは早期復旧を目指す事業継続計画(BCP)も、『キャリア回線がいつでも繋がる』想定で策定しては意味を成しません。
普段使用している回線が通信断により使用できないことも想定する場合でも、通信インフラは不可欠です。今回の通信障害でもインターネットや通話なしでの事業継続は不可能であると実感した方も多いのではないでしょうか。
また、災害時などに無償で解放される想定の公衆Wi-Fi、00000JAPAN(ファイブゼロジャパン)。これは3大キャリアを含む大手通信会社の回線を用いて提供されるシステムです。つまり、それらのキャリア回線がなんらかの影響で使用できない場合、00000JAPANも繋がりにくくなる、最悪の場合には繋がらない可能性もあるのです。
回線の冗長化として有効な手段は、独立した回線をバックアップ(予備)として事前から準備しておくことです。
通信障害でも繋がる、独立した回線 衛星ブロードバンド
独立した回線の例としては、衛星ブロードバンドが挙げられます。
衛星ブロードバンドとは、その名の通り人工衛星を介してインターネットに接続するサービスです。
拠点にアンテナを設置し、宇宙の人工衛星と通信することでデータ通信を行う仕組みなため、キャリア回線や光回線の障害には関わらずインターネットを使用することができます。
宇宙と通信する構成上、地上施設が最小限で済むため地震などの災害による破断にも強いことも特徴の1つです。
これらの特徴から、事業継続計画(BCP)も含む非常時のバックアップ用回線として注目されています。
また、衛星IP電話を活用すれば、内線通話も可能になります。
通話及びデータ通信を衛星ブロードバンドでバックアップすることで、キャリアの大規模通信障害や災害などの非常事態であっても通信インフラをカバーすることができるようになります。
さらに、メイン回線に繋がらない際にはバックアップの回線に自動で切り替えるルータなどを活用し、事業所のネットワークを冗長化することができます。
衛星ブロードバンドが独立した回線であることを生かした事業継続計画(BCP)を策定することが更なる事業継続及び早期の事業復旧に繋がります。
まとめ
今回、大規模な通信障害によって社会単位の大きな影響がありました。
インターネットが使えないということの重大性や緊急性が明らかになった今だからこそ、通信障害や災害時の破断などを想定したバックアップ回線の用意が必要です。